遂行機能障害とは
簡単に説明すると、物事に対して計画的に行動することができず、段取りが悪くなってしまったり、臨機応変に対応できなくなったりすることです。
前頭葉の障害で生じやすく、今まではスムーズに行えていたことでもミスが増えてしまう、あるいは混乱してしまい動作が止まってしまうといったことがしばしばみられるようになります。
遂行機能
動作を遂行するためには以下のような流れが必要となります。
- 目的や目標を明確に意図
- それを達成するための計画を立案する
- 行動手順を組み立てる
- 実行する
- 結果を正確に評価する
- 結果に基づいて目的や目標にかなうように行動をより適切に修正する
この流れのどれか一つでも行えなくなると、スムーズな行動が起こせなくなるわけです。
遂行機能障害の評価
BADS(Behavioural Assessment of the Dysexecutive Syndrome)
- 規則変換カード検査 2.行為計画検査 3.鍵探し検査 4.時間判断検査 5.動物園地図検査 6.修正6要素といった6つの下位検査と1つの質問紙で評価する行動評価になります。
FAB(Frontal Assessment Battery)
検査用紙一枚で行える、簡便かつ短時間で行える評価になります、18点満点で評価されます。
Stroop Test(ストループテスト)
「赤」、「青」、「緑」、「黄」の色を答えていただいた上で,「赤」、「青」、「緑」、「黄」の4文字を漢字の意味と異なる色で書いておいて、漢字を答えたくなるのを抑えて色名を当てさせるテストになります。
遂行機能障害への対応
まずは、情報量を減らすことが重要です。自身で予測して行動を起こし、誤りを修正しなければならないため、一つの動作に対して行う手順を少なくすることから始めます。
行動手順書などを作り、それにそって手順を実行していくことも重要となります。
少しずつできるようになってくれば、手順を増やしたり、指示を増やしたりして、少しずつ自身で行えるように促していくとよいでしょう。
高次脳機能障害の方に対しては、基本的にエラーレスラーニング(できる限りミスがないように実行していく)が重要となるため、どのようなことをしていただくかは、その方の症状を十分に評価してから望むことが大切です。
おわりに
遂行機能障害の方においては、注意機能障害や認知症を伴っていることも少なくはありませんので、その方がどのような症状を呈しているのかを評価し、難易度を十分に調整しておく必要があります。