高次脳機能障害

中枢神経系

脳梗塞や脳出血といったいわゆる脳卒中をはじめ、クモ膜下出血、硬膜外血種などにより脳に損傷を受けることで、言語・思考・記憶・行為・学習・注意などの知的な機能に障害が起こった状態を「高次脳機能障害」と呼びます。

高次脳機能障害の臨床症状

失語失行、失認、記憶障害、注意障害遂行機能障害、社会的行動障害といった症状が認められます。

失語症

脳の損傷により、一旦獲得した言語機能が失われた状態のことをいいます。

失行症

経験や学習、社会的な習慣などによって身に付けた動作ができなくなる障害であり、それは「麻痺、失調、不随意運動などの運動機能障害」、「感覚障害」、「失語症があって理解できないこと」、「視覚性失認などの認知機能障害があって、物をみても何だか分からないこと」のいずれによっても説明できないものをいいます。

失認症

視覚からの情報としてとらえることは可能ですが、認識できなくなる、あるいは極端に認識しにくくなる(意識にのぼりにくくなる)といった症状のことです。

記憶障害

記憶障害に関しては、認知症が広く知られていますが、簡単にいうと新しく覚えることができない、以前のことを思い出すことができないなどの症状がみられます。

注意障害

何かの刺激や課題といったものに対してそれを意識し続ける、あるいは意識を切り替える、複数のことを同時にこなすといったことができなくなってしまう症状がみられます。

社会行動障害

感情を適切にコントロールすることができなくなり、不適切な行動をとる状態のことです。怒りなどの感情を抑えられなくなったり、逆に自発的に行動できなくなったりする症状がみられます。程度は様々ですが、易怒性、無責任、思いやりの欠如などの人間社会に必要な理性が保てなくなることがあります

遂行機能障害

目的や目標を明確に意図→それを達成するための計画を立案する→行動手順を組み立てる→実行する→結果を正確に評価する→結果に基づいて目的や目標にかなうように行動をより適切に修正するといったことが行えなくなります。

終わりに

高次脳機能障害は脳の損傷で生じるものですが、対象者はその症状に気づいていないことが多いです。そのため、高次脳機能障害自体を周囲が理解していないと対象者が生活しにくくなってしまう(疎外感、戸惑いがみられる)ため、医療従事者のみならず家族や友人への理解を深めることも重要です。

PT・OTのための高次脳機能障害ABC [ 網本和 ]

価格:6,050円
(2021/10/10 00:08時点)

タイトルとURLをコピーしました