Timed Up & Go Test(TUG)

動作分析

Timed Up & Go Test(TUG)とは?

パフォーマンステストの一つ。
「椅子から立ち上がり、3m先の目印を折り返し、再び椅子に座るまでの時間を計測する」
といった方法で、バランス能力や転倒リスク、歩行能力を評価するものとされています。

適応

虚弱高齢者を始めとして、整形外科疾患全般、脳卒中患者、パーキンソン病患者などに幅広く利用することができるテストです。

近年、地域の転倒予防教室、介護予防教室においても多く利用されている評価指標といえます。

実施場所

この評価はあまり広い場所を必要としません。基本的には、6m程度(3mの直線歩行と方向転換を必要とするため)の距離や方向転換に十分な幅があればよいと思います。転倒リスクを防ぐために、二人が一緒に歩行してもよい広さがあるとなおよいです。

準備するもの

  • メジャー(距離を測るため)
  • 背もたれのできる肘掛け付きの椅子(肘掛けは安全管理のためにあるとよいでしょう)
  • コーン(方向転換用の目印)
  • ストップウォッチ

測定方法

  1. 対象者の開始姿勢は、背もたれに軽くもたれるようにし、両手は肘掛けに置く(もしくは大腿部の上に置く)姿勢となります。
  2. 測定者の掛け声(ハイなど)で対象者は立ち上がり、歩行を開始します。3m先のコーンを回ったら、座っていた椅子まで戻り着座します。
  3. 測定者の掛け声から、対象者の殿部が椅子に触るまでの時間をストップウォッチにて測定します。
  4. コーンを回る方向に関しては被検者の自由とします。
  5. 日常生活で杖や装具などの歩行補助具を使用している場合には、それを使用して実施します。
  6. 測定回数については、様々な報告があり、1回の練習後に3回テストを実施し、結果の平均値をとるものや2回のテストの最大値をとるものもあります。

歩行速度については、「いつも歩いている速度、自分が楽な速度」という快適歩行速度のほか、「できる限り速く歩く」という最大歩行速度があります。
快適歩行速度では日常生活上の状態が評価できると思われますが、最大歩行速度では測定時の心理状況や教示の解釈の違いによる結果の変動が排除できますので、最大歩行速度で測定したほうが結果のバラつきが少なくなりそうです。

転倒リスクに注意

こういったパフォーマンステストにおいては、「できる限り良い結果をだしたい」あるいは「早く椅子に座りたい」といった心理状況によって、対象者が過度に急いでしまった結果、つまづいてしまう、椅子に座りそこなってしまう、勢いよく着座してしまい椅子が大きく動いてしまって転倒してしまうなどの危険があります。

測定者はあくまでも、対象者の邪魔にならない位置ですぐに支えることのできる位置にいること、椅子の背もたれを壁につけておくなどのリスク管理を十分に行ってください。

おわりに

TUG は、先にも述べたようにバランス能力や歩行能力などを評価することができるとされています。TUGの動作は「椅子から立ち上がる」、「直線歩行」、「方向転換」、「椅子への着座」といった動作に分解することができます。TUGの結果を実施時間のみで評価するのではなく、すくなくともこれら4つの動作における動作分析も行えると、臨床的意義もより深いものとなるのではないでしょうか。

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