6分間歩行試験(6Minute Walking Test:6MWT)

呼吸器・循環器

6MWTとは?

6分間歩行試験を指し、自己のペースで6分間の歩行を行った際に最大でどの程度の距離を歩行できたのかを測定する検査。その距離によって、運動耐容能が評価できるとされています。

6分間歩行距離(6Minute Walking Distance:6MD)ともいわれています。

元々、Cooper(1968年)が12分間の走行距離で最大酸素摂取量を推定する12分間走行テストを考案しましたが、これを元に簡便性や負担などを考慮し、信頼性のある検査として6分間歩行試験が現在も多く使用されています。

適応

健常高齢者や心疾患、呼吸器疾患患者など幅広く使用できる。

6MWTを実施する場所(コースの設定)

屋内の人の往来がない平坦な場所を選択します。歩行コースは30m以上が推奨されますが、15m以上あれば6MWTには影響しないともいわれています。できれば3mごとにマークをし、両端にコーンを設置して方向転換が行えるようにします。

準備しておくもの

・ストップウォッチ

・椅子

・記録用紙(距離や血圧、SpO2の値など)

・血圧計、パルスオキシメーター、簡易型除細動器などがあるとなおよい。

評価手順

  1. 対象者は少なくともテスト前の10分間は椅子に座り安静にする
  2. 血圧や脈泊数、SpO2などを測定し、記録しておく
  3. 検査者はオリエンテーションを行う(口頭説明と見本の提示を行う)
  4. 対象者は起立しスタートラインに位置する。その際、ベースラインの呼吸困難と全体的な疲労感を(修正)Borg scaleで測定する。
  5. テストを実施する。定められたコースを6分間往復し続ける。検査者は対象者と一緒に歩行してはいけないとされているが、リスク管理上ついたほうがよいと思われる場合にはついたほうがよいと思います。
  6. 6分間経過しないうちに中断する場合には、椅子に座ってもらい、中断した時間や距離、理由などを記録しておく。
  7. テスト終了後、歩行後の(修正)Borg scaleの呼吸困難感と疲労レベル、総歩行距離を記録する。

解釈のポイント

臨床的に優位な改善は、54mと報告されています(Redelmeier et al)。

6MWTの評価は改善率ではなく、歩行距離の絶対値評価(m)が推奨されています。

また、6MWTは正確なピーク酸素摂取量を決定したり、運動・作業制限因子を解明したりするためのものではなく、日常生活における歩行能力という(運動耐容能を含めた)パフォーマンスを評価しているものと考えておいたほうがよいと思われます。

おわりに

6MWTは呼吸器疾患、心疾患患者の運動耐容能を評価するために使用されることもありますが、その際は転倒以外のリスク管理も十分に行いながら実施する必要があります

アメリカ胸部学会(American Thoracic Society:ATS)が6MWTガイドラインを公表しており、実施方法が標準化されておりますので、今後研究を行う方は確認しておくことも大事かと思います。

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